Sibelius上でFinaleの高速ステップ入力を実現する方法
- tarokoike
- 2月25日
- 読了時間: 4分
更新日:6月15日
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以前にDorico上でFinaleの高速ステップ入力を実現する方法という記事にて、MIDIキーボードが無い環境での音符入力では最も効率的な方法の一つであったFinaleの「高速ステップ入力」(MIDIキーボード不使用)をDoricoで実現する方法を紹介しましたが、今回はそのSibelius版です。
Sibeliusでは、MIDIキーボードを使用しない場合、音符は基本的にアルファベット入力(CDEFGABキーでピッチを指定する方法)で音符入力を行いますが、ユーザー設定により、Finaleと同様にパソコンの上下矢印キーでピッチ(音高)、数字キーで音価を指定する音符入力が可能です。
1.上下矢印キーでピッチを指定する設定
こちらがアルファベット入力を行うように設定された、Sibeliusの環境設定の初期状態です。

Finaleの高速ステップ入力(MIDIキーボード不使用)と同様な入力を行いたい場合は、「環境設定>音符の入力>音符の入力オプション>音符の入力時」で「音高を指定してから音価を指定」にチェックを入れ、さらに「音価の前に音高を指定するには」で「QWERTYキーボードを使用」にチェックを入れます。

同時に、以下の設定変更も行なっておくと良いでしょう。
「矢印キーでカーソルを移動」のチェックをONに:これにより、左右矢印キーでカーソルの位置を左右に移動できるようになります。
「4分音符の種類を入力するには」を「テンキーの5」に:これにより、Finaleと同様に数字キーの5で四分音符を入力できるようになります。
「シャドー音符の音高を指定するには」では、「音名を使用」ではCDEFGABキー、「ピアノアレンジを使用」ではASDFGHJキーでCメジャー・スケールを入力できるようになりますが、高速ステップ入力では上下矢印キーでピッチを指定し、これらはいずれも使用しないため、どちらに設定しておいても構いません。
2.臨時記号のショートカットを設定
以上はピッチの指定方法の設定ですが、次にシャープやフラット、ナチュラルをキーボードショートカットで指定します。
ノートパソコンを用いている場合は、QWERTYキーボードの左上の数字キーは初期設定では音程を追加する役割を担っているため、これで音価を指定したい場合は「キーボードショートカット」にて現在のセットに「ノートブック型(ラップトップ)ショートカット」を選択する必要があるのは、Finaleの場合と全く同様です。
そのため、まずは「環境設定>キーボードショートカット」にて、既存の「ノートブック型(ラップトップ)ショートカット」を複製し、これを分かり易い名称に変更しておきます。

次に、そこに独自のショートカットを設定します。これは使い易いキーを指定すれば良いと思いますが、私の場合はキーボードのなるべく一番右上の方にある以下のキーで設定しています。
【Mac】
シャープ:¥
フラット:^
ナチュラル:-
【Windows】
シャープ:\
フラット:-
ナチュラル:Alt+N
タイはSibeliusの初期設定では音符入力後にテンキーのEnterキーを押すと追加されますが、Enterキーを搭載していないノートパソコンなどではこれは入力できないため、Macであればcontrol+Tキー、WindowsであればAlt+Tキーなどのショートカットを割り当てると良いでしょう。※
【※2025/5/16追記】その後、MacBookでもfnキー+リターンキーでタイを入力/削除できることが分かりました。ただしこれはMacのモデルやmacOSにより挙動が異なる可能性もありますので、これが効かない場合はショートカットを設定してみて下さい。

ちなみに、MIDIキーボードを接続してFinaleの高速ステップ入力(MIDIキーボード使用)と同じ入力方法を使いたい場合は、「音価の前に音高を指定するには」で「MIDIキーボードを使用」にチェックを入れます。

【※2025/6/13追記】Mac版では、上記の方法での入力時、入力した音符を休符に変換するために0キーを押すと、以降は音符が入力されず休符だけが入力されたり、音価に関わらず全休符のみが入力されていく状態になってしまう場合があるようです。この場合は一度CDEFGABキーでピッチを指定して数字キーで入力する操作を行うと、問題が解決されます。
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殆どの楽譜作成ソフトウェアは音符入力時にMIDIキーボードを接続することによりピッチ指定が可能ですが、MIDIキーボードを使用せずにパソコンのQWERTYキーボードだけで音符入力を行う方法は、製品ごとに異なっていました。
SibeliusとDoricoは、MIDIキーボードを使用しない場合はCDEFGABキーでのピッチ指定というのが標準的な方法でしたが、これはキーが広範囲に分散しているため、速く正確な操作には多少の練習が必要だったと思います。
上下矢印の二つのキーだけでピッチを指定できるFinaleの高速ステップ入力(MIDIキーボード不使用)はこの点で優れた機能でしたが、これまで述べて来た通り、DoricoとSibeliusのいずれでも、ユーザー設定により、これとほぼ同じ入力方法が使えます。
SibeliusやDoricoでこれまでFinaleで行ってきたように快適に音符入力ができるかどうか心配されていた方も、これで安心して両製品に乗り換えられるのではと思います。