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【Finale】Mac版に固有の難病「Unhandled exception caught」エラー

執筆者の写真: tarokoiketarokoike

Finaleのトラブルで以前から気になっているものの一つに、Mac版のみにごく稀に現れる、『「Unhandled exception caught」メッセージが現れてFinaleが起動しない』というものがあります。


このメッセージは慣用句的な言い回しのようで、検索すると他ソフトウェアではWindows版でも表示されることがあるようです。日本語訳は難しいですが、直訳すれば「未処理の異常が確認されました」、意訳すれば「原因不明のエラーが発生しました」といったところでしょうか。いずれにせよ、エラーメッセージ自体は非常に漠然としたもので、具体的な症状や対策を示唆するものではありません。


これはFinaleにおいては少なくとも7〜8年前には既に発生していた問題で、現在も年に数回程度、お問い合わせを頂くのですが、残念ながらこの問題に関しては解決が非常に困難で、少なくとも日本のFinaleテクニカル・サポートでは、これまで根本解決できた事例がありません。


この困難な状況は、Finaleの英語版とスペイン語版を直販するFinale開発元のMakeMusic社においても似たようなもののようですが、これまで彼らとこの問題について協議を重ねてきた中で見えて来たことは、原因としておそらく多いものは、Macのユーザー・アカウントに関連するもの、iCloudに関連するもの、オーディオに関連するものの三つであろうということです。


(1)Macのユーザー・アカウントが原因と考えられる場合


MacはTimeMachineという便利なバックアップ機能を用いて、新しいMacを導入した場合は古いMacの中身をユーザー・アカウントも含めて丸ごと移植することができますが、これを用いて同じユーザー・アカウントを何年間にも亘り複数のMacで使い続けた場合、この「Unhandled exception caught」問題を含めた、ソフトウェアの起動に関する何らかの問題が生じる可能性があるようです。


これは今のところ推測の域を出ませんが、「Unhandled exception caught」のエラーが出て起動しなくなったFinaleが、同じ環境で新たなユーザー・アカウントを作成してログインした場合は起動する場合が多いことから、おそらくは妥当な見方であると考えられます。


この場合は、元のユーザー・アカウントでの使用は諦めて新しいユーザー・アカウントでFinaleを使用するのが手っ取り早い解決策ですが、どうしても元のユーザー・アカウントで解決を試みたい場合は、macOSの再インストールが解決策の一つとなる可能性があるようです。これは少々面倒ではありますが、試してみる価値はあるかも知れません。


※Appleのウェブサイトでは「macOS を再インストールしても、個人データは削除されません」とありますが、相手は機械である以上、再インストール中に何らかの事故が起こらないとも限りません。本当に重要なデータは必ずバックアップを取った上で実行されることをお勧めいたします。


なお、ユーザー・アカウントが原因と思われる問題はWindows版のFinaleでも時折見られ、Finaleテクニカル・サポートでは以下のようなFAQ記事も公開しています。ユーザー・アカウントは何らかの事情で壊れることがあるというのも、トラブルに備えて覚えておくべきことの一つでしょう。


▼Windows:ローカルのユーザーアカウントまたは管理者アカウントの作成方法


(2)iCloudが原因と考えられる場合


「Unhandled exception caught」の問題は、iCloudとの関連性も指摘されています。もし絶対必要でなければ、iCloudの「"デスクトップ"フォルダと"書類"フォルダ」はOFFにしておくのが無難のようです。

なお、これをOFFにすると以下のような警告が表示されます。作業の流れに従い「オフにする」ボタンをクリックした瞬間に、警告文にあるようにデスクトップと書類フォルダに保存していたファイルが消失しますので、ちょっと驚くかも知れません。

しかしこれも警告文を良く読めば分かる通り、ローカル上で削除されたファイルは、実際にはiCloud Drive上に移動されています。

iCloud Drive上のフォルダはローカル・フォルダと同様にFinderからアクセスできますので、必要であればこれらのファイルは手動でローカル・フォルダ上に戻すこともできます。


(以下のスクリーンショットは、iCloud Drive > 書類 > 書類 - (ユーザー名)フォルダに移動されたファイルをローカルの書類フォルダに移動させる様子です。)

音楽系アプリは大容量データが書類フォルダにインストールされることもしばしばあるので、iCloudの「"デスクトップ"フォルダと"書類"フォルダ」をONにしていると簡単に無料ストレージを使い切ってしまい、不要なメッセージが届くのが悩ましいところです。これを避けるためにも、いずれにせよこれはOFFが良いのかも知れません。


(3)オーディオ・デバイスとの競合が原因と考えられる場合


「Unhandled exception caught」のメッセージと共にFinaleが強制終了した際、そのクラッシュ・レポートにオーディオ処理の不全と思われる記述が見つかる場合があります。


この場合、トラブルシューティングとしては、オーディオ・デバイスを取り外す、開発終了などにより最近アップデートされていない古いオーディオ・ドライバを探し出して削除する、などが考えられます。


これはMac版のFinaleではまだ成功事例がありませんが、Windows版のFinaleではオーディオ・ドライバとの競合でFinaleが起動せず、これを特定して削除することで解決する事例は数多いため、Mac版のFinaleでも解決策の一つになる可能性はあるかと思われます。


オーディオ・デバイスとの競合が原因と考えられる場合は、これまでは正常動作していたのに、ある日を境に発生することも多いようで、問題の発生前後で該当のパソコンにどのような変化があったかを確認することが解決の糸口となります。


この変化を特定するのは容易ではありませんが、もし毎日のようにFinaleを使用している場合は、TimeMachineでOS環境を問題発生前に戻すことで解決できる可能性があります。あるいは前述のように、OSを再インストールするというのも解決策の一つになると考えられます。


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上記を踏まえた「Unhandled exception caught」エラーに対するトラブルシューティングは、日本語版Finaleの公式FAQ記事にまとめています。


▼Finaleを起動できない(「Unhandled exception caught」のエラーが出るなど:Mac)


なお、ソフトウェアも含めたパソコン上のトラブルシューティングには、最終的には、パソコンを工場出荷時の設定にリセットする方法もあります。


▼Mac を消去して工場出荷時の設定にリセットする(Apple社ウェブサイト)


▼Windows PC の初期化、リフレッシュ、復元の方法を徹底解説!(Microsoft社ウェブサイト)


いざという時に、こうした思い切ったトラブルシューティングを多少なりとも容易に実行できるようにするためにも、作成したファイルは全てクラウドなど別のストレージにも常にバックアップを取る、少なくとも毎日の仕事終わり時にTimeMachineのバックアップを取る、といった習慣をつけるのが良いかと思います。

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