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【Finale】Finaleでは不可能なことと、その代替策:最近お問い合わせ頂いたケースから

ある製品で出来ることを調べるためには、その製品のウェブサイトやユーザーマニュアルなどを調べれば良いですが、「不可能なこと」に関する情報は一般に少なく、あることが可能か不可能かについては、実際に自分でその製品をいろいろと操作してみないと分からないということも少なからずあります。


せっかく長時間を費やして調べたのに、結局「不可能」ということが分かっただけ、となるのは、ユーザー視点からすると残念なことです。一方、もし最初からそれが不可能と知っていれば、別のアプローチを工夫するというポジティブな作業により多くの力を注ぐことができるようになります。


この記事では上記の観点から、Finaleテクニカル・サポートにこれまでお問い合わせを頂いた中から、主な「Finaleでは不可能なこと」と、それに対して考えられる別のアプローチをご紹介します。


この記事は今後も項目を追加して、随時更新したいと思います。


【目次】

  1. スコア譜とパート譜でリハーサルマークの大きさを変える

  2. 符頭の色の個別変更

  3. フレットボードの横書き

  4. 分数コードなどの横線の垂直位置調整

  5. ポリコードの入力

  6. 装飾音符が置かれた加線の線幅変更


ーーーーー


1. スコア譜とパート譜でリハーサルマークの大きさを変える


Finaleではスコア譜とパート譜がリンクしており、どちらかに変更を加えると他方でも自動的にその変更が反映される便利な機能があります。


しかし記号についてはこの機能が仇となり、例えばリハーサルマークの大きさをスコア譜で大きくすると、パート譜のリハーサルマークもその大きさに変わってしまいます。そして残念ながら、そのサイズをスコア譜とパート譜で個別に設定することが出来ません。


通常はその仕様で問題ないかも知れませんが、これは例えば大規模編成を扱うオーケストラ譜の場合に問題となります。指揮者用のスコア譜では紙面で五線の占めるスペースが大きくなる分、リハーサルマークを大きく表示させたくなりますが、それを行うとパート譜のリハーサルマークは大きくなり過ぎてしまいます。


これは実際、かつて私が携わった松尾早人さん(作編曲家/オーケストレーター)のフィルム・スコアリング用テンプレートの制作時に問題となりました。本当は指揮者用のスコア譜にはかなり大きなリハーサルマークを配置したかったのですが、この問題のためにやや大きめのリハーサルマークの使用で妥協したものの、それでもパート譜のリハーサルマークはだいぶ大きめになっています。



Finaleでは、スコア譜とパート譜でサイズの異なるリハーサルマークをどうしても使いたい場合は、それぞれをスコア譜、あるいはパート譜にのみ表示させる設定にしたリハーサルマークを作成するということはできます。


しかし、それらの管理は手動で行わなければならなくなり、その手間とミスを犯すリスクを考えると、これはスコア譜が完成してからパート譜用のファイルを別途作成するというのが、結局のところ現実的な解決策と思われます。



2. 符頭の色の個別変更


SibeliusやDorico、あるいは無料のMuseScoreでも、符頭の色の個別変更は可能です。


一方、Finaleには符頭の色を個別に変更する機能がなく、例えばCの符頭を赤にするという機能はスコア・マネージャーおよび「ファイル別オプション>音符/休符」の中にありますが、その場合は全てのCの符頭が赤になり、例えばC3だけ赤くするということが出来ません。


しかし、もし特定の符頭のみ色を変更したいと思ったら、そこに予め画像ファイルとして作成したカラー符頭を重ねて配置するということは出来ますし、Illustratorなどグラフィック編集を専門とするソフトウェアで処理するという方法もありますので、これは現状の仕様でもさほど不自由はないかと思います。




3. フレットボードの横書き


これは縦書きの欧米スタイルと横書きの日本スタイルという違いに起因するものと思われますが、Finaleが米国製のソフトウェアで世界市場をターゲットとしているのであれば、おそらくは特殊な日本スタイルに対応しきれないのはやむを得ない仕様かと思います。


これもFinaleで作成したフレットボードを画像で書き出して横倒しにしたものを沢山ストックしておいて、Finaleに搭載のグラフィック・ツールで配置するか、あるいはIllustratorで仕上げるというフローで対処できるのではと思います。


この図で、1小節目のCMaj7の上にある横倒しのフレットボードは、前者のグラフィック・ツールを使う方法で配置したものです。



グラフィック・ツールで配置したグラフィックは任意の小節に割り付けたり、配置を数値指定することもできるので、レイアウトの変更にも追従させることができます。



4. 分数コードなどの横線の垂直位置調整


Finaleでは、分数コードなど横線で分子と分母の記号を分けるコードを入力する際はアンダーバー「_」を挟みますが、この方法で入力した横線の垂直位置は分子側に偏り、読みにくいものとなります。そして意外なことに、Finaleではその位置を上下に調整することができません。


対策として、やや面倒ではありますが、分子と分母の二つのコードを個別に入力し、横線は変形図形ツール内の直線ツールを用いて入力することで、バランス良く読み易い分数コードを表現できます。


なお、直線ツールはShiftキーを押しながら引くと、直線を水平に引くことができます。傾いて入力してしまった直線はハンドルを右クリックで「水平に固定」を選ぶことで水平にすることができます。


これを応用し、上記の方法で要素を分解した分数コードの各記号を横一列に並べるために、ページの右端から左端までの長さの直線を定規代わりに作成して使うと良いかも知れません。




5. ポリコードの入力


例えば「G/CMaj7」「Em7/FMaj7」のような、トライアドや7thコードの上にさらに別のトライアドや7thコードを配置したポリコード(polychords)は、Finaleでは入力出来ません。


これを入力するためには、分子と分母のそれぞれのコードを縦に配置し、横線は前述の分数コードと同様、直線ツールで入力します。



入力時には、例えば「G/CMaj7」ならば「CMaj7」とタイプしてカーソルが「7」の右にある状態で上矢印キーを押して「G」を入力するという、やや特殊な操作が必要となります。ヴォイシングに音楽的な配慮はなされませんが、これらのコードは一応プレイバックでも再現されます。



6. 装飾音符が置かれた加線の線幅変更


Finaleでは装飾音符が通常音符から倍率を変更して入力される仕様ですが、この倍率を音符と加線とで個別に制御することができません。結果として、加線の上で装飾音符が多用される場合、通常の音符と装飾音符とで加線の線幅の違いが目立ってしまいますが、これは統一できません。



これは変形図形ツールで補うのも難しいので、どうしても統一したい場合はPDFなどに書き出して画像編集ソフトウェアで加工するのが効率的かと思います。


(ちなみに、調べたところ、これはDorico、Sibelius、MuseScoreでも、少なくとも初期設定では同様でした。手書きではあり得ない表現かと思いますが、楽譜作成ソフトウェアの普及により、これが今後における記譜のスタンダードになるのかも知れません。)


ーーー


ある製品の標準機能では不可能なことを別の機能を応用して実現するための工夫を考えることで、その製品の性質をより深く理解できるようになります。


Finaleはよく「出来ないことは無い」と評価されますが、それは具体的には「標準機能では不可能なことを別の機能を応用して実現するための工夫の余地が広い」という意味なのかなと思っています。

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