Swingなどの音楽記号を簡単に入力できる音楽テキストフォント:MusGlyphsとMetrico
- tarokoike
- 4 日前
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例えば、Swingフィールを示す以下のような音楽記号を楽譜上に入力する場合を考えてみます。

Finaleでは、発想記号の選択ダイアログボックスからプリセットの記号を選択することで、これは簡単に入力できました。

Sibeliusでも、「テキストタブ>スタイル>メトリックモジュレーション」から選択することにより、やはり容易にこれを入力することができます。

Doricoの場合、少なくとも現時点の最新バージョンであるPro 6においては、これを入力するための直接的な機能がありません。
そのため、これらの音楽記号を入力可能な音楽テキストフォントを別途インストールし、これをテキストとして入力することになります。
Finaleを持っている人は、Doricoと同じ環境にFinaleが既にインストールされていれば、Finale日本語版に付属の音楽テキストフォントであるRentaroがSwing記号を持っているため、これをDorico上で使用するのも手っ取り早い解決策かと思います。

出版譜の浄書業務などで高品質な音楽テキストフォントが必要な場合は、日本国内の出版譜では定番の音楽フォントとなっているChaconne EXを購入して使用するのが良いでしょう。これについては以下の記事に詳細があります。
▼【Chaconne Ex】美しい楽譜を書こう! その2(スウィング記号を入力する)
ただし、RentaroやChaconne EXでは求める音楽記号を探すのが少し面倒で、特殊なキーコマンドをタイプしたり、文字コード表からコピー&ペーストしたりと、感覚的な操作で素早く入力するのが難しいことがあります。
その解決策の一つが、直感的なキー操作で音楽記号を入力できるようにデザインされた音楽テキストフォントを別途、入手してインストールすることです。
その代表例が、2021年に発表されたMusGlyphs(ミューズグリフス)でしょう。このフォントを使用すると、例えばこの動画にあるような記号は以下のようにキーをタイプすることで、非常に素早く簡単に入力できます。
ee=e.s
ee=qe3
ses=sse=e.s=se.=ssss

もちろん同一文書内で日本語フォントや欧文フォントと共存できますので、楽譜作成ソフトウェアに限らず、ワープロを使った音楽教材の制作などにも便利そうです。
以下の記事に、MusGlyphs開発者のインタビューがあります。
▼MusGlyphs, an advanced music text font (April 14, 2021 | by Dan Kreider)
こちらの動画を見ると、MusGlyphsがいかに直感的に素早い音楽記号の入力を可能としているかが分かります。
同様な音楽テキストフォントに、2019年に発表されたMetricoというものもあります。こちらもMusGlyphsと概ね同様な簡単キー操作で音楽記号を入力できます。
こちらは登録グリフ数がMusGlyphsの957個に対して99個とコンパクトな構成となっており、またワープロなどでの使用を想定したTextバージョンのセットはありません。

Doricoに入力した際のそれぞれの仕上がりは、このような感じになります。ベースに使用している音楽フォントは日本国内の出版譜では定番のChaconne EXです。

MusGlyphsは音楽記号にBravura、アルファベット等のテキストにAcademicoを使用しています。
Bravuraは以前の記事で比較したようにChaconne EXに比べると若干肉厚な音楽フォントですが、このような使用法であれば、Chaconne EXやFinale MaestroといったFinaleユーザーが親しんで来た音楽フォントと組み合わせても、それほど違和感はないかと思います。
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MetricoはこちらのGitHubページから無料ダウンロードできます。
▼Metricoのダウンロード
MusGlyphsは以下のウェブサイトにて10ドルでダウンロード購入が可能ですが、金額は購入者が決められる仕組みになっており、0ドル(つまり無料)での購入も可能です。
▼MusGlyphsの購入
いずれも、とりあえず試用版として無料ダウンロードし、気に入ったら好きな金額で購入し直したり寄附して差し上げると、開発者に喜ばれるかも知れません。