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Dorico:フィルム・スコアリング用テンプレートによくある「大きな小節番号専用の譜表」の作り方

更新日:2月13日

Finale国内販売代理店に勤務していた頃、その昔バークリー音楽大学在籍時に学んだフィルム・スコアリング用のFinaleテンプレートを現行バージョンのFinaleで再現する方法を解説した記事を執筆したことがありました。


Finaleの国内販売代理店契約が終了したため、残念ながらこの記事は今は読むことができませんが、それは指揮者から見て視認性の高い大きな小節番号専用の譜表を、同じく大きな拍子記号と共に用いることを特徴としていました。



この大きな小節番号専用の譜表とは、簡単に言うと、外側(上下)2本の譜表線だけを表示させた譜表の中央にフォントサイズを大きくした小節番号を配置するというものでした。


これらをDoricoで再現しようとした場合、大きい拍子記号についてはDoricoにはFinaleよりも遥かにフレキシブルで使い易い機能が搭載されており、その再現は簡単です。


しかし、この大きな小節番号専用の譜表については、DoricoにはFinaleのような譜表線を自由に引く機能がないため、私はこれまで長い間、その再現は不可能と思い込んでいました。


先日、ふと気になってそのことをSteinberg Forumに投稿したところ、実はDoricoでもFinaleとは異なるアプローチでそれが可能であることを知りました。その情報を元に私が手元で試して見つけた方法は以下の通りです。


(1)小節番号専用の譜表を作成するには


  1. 設定モードに移動し、シングルプレーヤーを1人追加します。

  2. 新しく作成した「楽器が関連付けられていないプレーヤー」を右クリックし、「空のキットを作成」を選択します。

  3. 開いた「打楽器キットを編集」ダイアログにて、左下の「+」ボタンをクリックし、楽器を2つ追加します。

  4. 左上の「グリッド」タブに移動し、上の楽器の名前を選択し、「間隔」の値を2(デフォルト)から4に変更します。

  5. 「適用」「閉じる」をクリックして、「打楽器キットを編集」ダイアログを閉じます。(すると、小節休符、打楽器の音部記号、そして2つの楽器名を伴う、譜表の高さが通常の五線譜表と同じである二線譜表が表示されます。)

  6. 最初の小節の小節休符を選択し、Shift + Mを押して、括弧付きで拍子記号(「(4/4)」など)を入力し、ポップアップウィンドウの右端にある「シングル」アイコンをクリックして、リターンキーを押します。(これで、選択した五線譜のみ拍子記号を非表示にできます。)

  7. 記譜モードに切り替え、すべての小節休符を選択し、下ゾーンのプロパティ左端にある「一般>色」のスイッチをONにして、すぐ右のカラーパレットアイコンをクリックし、現れた「カラー」ダイアログにて不透明度を100%(デフォルト)から0%に変更します。(これで選択した小節休符が、見た目上の非表示となります。)

  8. 楽器名を選択し、リターンキーを押して「インストゥルメント名を編集」ダイアログを開き、すべての楽器名を削除します。(もし1,2などの文字が残る場合は、楽器名に半角ブランクを入力します。)

  9. 「ライブラリーメニュー>浄書オプション>小節線>デザイン」を選択し、「小節線が突出する長さの最小値:」の値を1スペース(デフォルト)から0に変更し、「適用」ボタンをクリックしてダイアログを閉じます。


(2)小節番号を大きく表示するには


  1. 「ライブラリーメニュー>パラグラフスタイル>小節番号 (スコア)」を選択し、フォントサイズを9.0pt(デフォルト)から約18.0ptに変更します。

  2. 「ライブラリーメニュー>レイアウトオプション>小節番号」にて、頻度に「1小節ごと」、水平位置に「小節の中央に配置」を選択します。

  3. 同じく「小節番号>位置」で、「Percussion」のみが選択され、「組段に対する位置」のチェックがすべて外れていることを確認します。

  4. 「譜表からの最小距離:」と「他のアイテムからの最小距離:」に適切な値を設定します。(通常は-4~-5程度です。)

  5. 「表示/非表示」で、以下の4つの項目にチェックを入れます。

    • リハーサルマークがある場所に小節番号を表示

    • 拍子記号が譜表の上にある位置に小節番号を表示

    • 1小節ごとに小節番号を表示する場合、最初の小節の小節番号を表示

    • 組段をまたいで分割された小節の組段の開始位置に小節番号を表示


最初の小節を選択してShift+Cで「invisible」と入力、あるいは右ゾーンにて「音部記号>その他の音部記号」で非表示の音部記号を選択して音部記号を非表示にすることもできますが、そうすると移調時に小節番号専用の譜表にも調号が表示されてしまうので、これは初期状態のパーカッション・クレフのままの方が良さそうです。見た目上も機能上も、それで特に問題はありません。


なお、この方法では小節を追加あるいは挿入した箇所の小節休符は不透明度0%の設定が適用されず、これらは再び手動で不透明度0%に設定する必要があります。


その際、指定した範囲の小節休符だけを選択できないことがあるようですが、その場合は指定した範囲以外も含めて選択した状態で不透明度を一旦0%以外に変更し、再度0%に設定すると、選択範囲の全ての小節休符の不透明度を0%にすることができます。


ーーーーー


数十人規模の演奏者を使ったフィルム・スコアリングのレコーディング・セッションでは、時間超過はそのまま人件費やスタジオ使用料などの超過料金支払いによるコスト増に直結してしまうことがあるため、限られた時間内で必要とされるクオリティの演奏を生み出すことが非常に重要となります。


そうした厳しい現場で鍛えられてきたフィルム・スコアリング用の楽譜には、求められる結果を確実に実現するための様々な独自のノウハウが込められており、これはフィルム・スコアリングに限らず、一般のオーケストラや吹奏楽のコンサートなど、他の演奏現場でも大きな助けとなるはずです。


視認性の高い小節番号の表示には、他にも様々な方法が考えられます。Doricoではおそらく四角形で囲んだ大きな小節番号を配置するのが最も簡単な方法で、Doricoに付属の「フィルムオーケストラ」テンプレートでも、その方法を採用しています。


小節番号専用の譜表を配置する場合についても、四角形で囲んだ小節番号との合わせ技を使ったり、敢えて図形で囲まない小節番号を配置する方法もあり、どれを使うかはケースバイケース、あるいはお好み次第です。


今回の記事執筆に伴い、弊社でそれらを実際に制作してみました。



これらのテンプレートは以下から無料ダウンロードできますので、もし宜しければ実際の演奏現場でご活用頂けますと幸いです。


v1:敢えて図形で囲まない小節番号を、譜面の上下端に配置


v2:帯状の四角形内に入れた小節番号を、Stringsの上に配置(Finaleスタイル)


v3:個別の四角形内に入れた小節番号を、Stringsの上に配置


(本記事にご紹介したテンプレートの制作には、Steinberg Forumメンバーのjesele氏、Zalde氏より貴重なご助言を頂きました。ここに改めて感謝の意を表します。)


 
 

【お知らせ】

2026/2/13更新:Finaleからの乗り換えを支援するDorico集中講座(2026年3月開講コース)の受講お申し込み受付中。詳細はこちらのページをご覧下さい。

2025/8/26更新:Finaleからの乗り換えを支援するSibelius集中講座(2025年9月開講コース)の受講お申し込み受付中。詳細はこちらのページをご覧下さい。

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