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Doricoでコード記号から伴奏トラックを自動作成する方法

更新日:7月13日

Dorico Proには、コード記号から伴奏トラックを自動作成する「コード記号から音符を生成」という機能が、2022年11月発売のv4.3以降から搭載されています。


他製品をみると、Finale 2014以前には「Band-in-a-box 自動ハーモニー」、Sibeliusには「簡単な和音の追加」あるいは「コード記号の音符化」、さらにはMuseScore 4にも「コード記号を再現」という同様な機能が搭載されていますが、Dorico Proの「コード記号から音符を生成」は設定の自由度が特に大きく、応用範囲が広いと思われます。



1.基本的な使い方


まずはDorico Proの「コード記号から音符を生成」の基本機能を示すこちらの動画をご覧下さい。

こちらはSteinberg社が2022年11月に公開した、Dorico Pro 4.3当時の新機能であった「コード記号から音符を生成」の紹介動画です。

特にMuseScoreの「コード記号を再現」や、Finale 2014以前に搭載された「Band-in-a-box 自動ハーモニー」は、これと良く似た機能と言えます。


しかし、MuseScoreの「コード記号を再現」では、無料版としては高度な機能に驚かされるものの、和音の分散やオクターブ調整などを別途行う必要があり、その作業には一定の手間と音楽知識が必要です。


Finaleの「Band-in-a-box 自動ハーモニー」は、簡素でありつつも実用性が高い機能でしたが、Finaleが64-bitアプリ化した2016年11月発売のv25にて、同プラグインは64-bit化に追従できなかったために削除され、結局は最終バージョンのv27でもこれは復活しないまま、Finale自体が2024年8月末を以て開発および販売終了となってしまいました。


Dorico Proの場合、コード記号から音符を生成した場合のヴォイシングに関しては、「音符入力オプション>コード記号からの音符」内に、平行5度の禁即処理などヴォイスリーディングの理論も含めた多数かつ詳細な設定項目があります。通常は初期設定のままで大丈夫かと思いますが、必要であればここで特別な調整を行うことができます。

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2.応用的な使い方〜ジャズの伴奏トラックを自動生成する


Dorico Pro「コード記号から音符を生成」には、音符の生成時に、既に楽譜上に入力された特定の楽器が奏でるリズムを取り入れる機能があります。


これを使うと、例えばジャズギターやピアノの即興的な伴奏を、それっぽく手軽に自動生成することも可能です。


こちらはこの機能を活用して制作した、特定のII - V - Iリックを様々なキーで演奏できるようにするための練習教材の事例です。

よりリアルさを追求する場合はiReal Proを別途購入し、そこからMIDIファイルをインポートする方法もお勧めですが、この方法ならばDorico Proだけで作業を完結させることができます。



なお、上記の事例は、ギターとピアノそれぞれについてユーザーが作成した特定のリズム・パターンに従ったインタープレイ的な伴奏ですが、「多声フレット楽器についてはリズムを上書き」というオプションを適用することで、ギターについてはトラディショナルなジャズ・ギターの伴奏によくみられる四分音符主体の伴奏を生成することも簡単に可能です。


ーーー


コード記号から音符を自動生成する機能は、手書きではあり得ない「いかにも楽譜作成ソフトウェア的な機能」の一つと言えます。


おそらく最も高度な音符生成機能を持つDorico Proであっても常に思い通りの音符が生成されるとは限りませんが、それに近いレベルでの生成は可能に思えます。


この機能を活用することで、普段のアレンジ作業を効率化できるだけでなく、自力では思い付けなかったようなアイデアについてのヒントや、音楽スキル向上に繋がる新たな学びのきっかけを得ることも出来るかも知れません。

 
 

【お知らせ】

2025/11/12更新:Finaleからの乗り換えを支援するDorico集中講座(2025年11月開講コース)の受講お申し込み受付中。詳細はこちらのページをご覧下さい。

2025/8/26更新:Finaleからの乗り換えを支援するSibelius集中講座(2025年9月開講コース)の受講お申し込み受付中。詳細はこちらのページをご覧下さい。

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