2024年1月24日の昼過ぎ、弊社macOS 13.6.1 Venturaにて、Finale v27.3でGarritan系の音源のみ音が出ない問題、Sibeliusでアクティベーションに関する問題が同時に発生しました。
何となくmacOSアップデートとライセンス認証(アクティベーション)に関連した問題に思えるものの、今のところ原因は定かではありませんが、解決策だけは分かりましたので、取り急ぎその情報を以下にまとめておきます。
1.問題の発生
発生時の状況は不明ですが、覚えている限りでは、Finaleを起動したままmacをスリープさせ、十数分後にスリープを解除してMusicアプリで音楽を再生すると、その再生音が激しく歪んでいました。
Musicアプリの問題はFinaleを終了させたら治りましたが、その直後に以下の症状が出ました。
Finale場合:
SmartMusic SoftSynthやNotePerformerなど他のサンプル音源を選択した場合は問題なく音が出るのに、Garritan Instruments for Finale (GIFF)やGarritan Personal Orchestra 5 (GPO5)を選択した場合は音が出ない。
Sibeliusの場合:
特にアプリの起動などは行っていない状態で、
「ライセンス・エンジンの初期化で重大なエラーが発生しました。エラーコード:5。Avidカスタマーサポートにお問い合わせください。アプリケーションは作業を続行できないため、終了します。」
というエラーメッセージが自動的に表示され、Sibeliusを通常の手続きで起動しようとしたところ、起動しない。

2.解決方法
(1)Sibeliusの場合
Sibeliusについては、現れたエラーメッセージをそのまま書き写し、それでネット検索したところ、幸運なことに同じ問題を経験した方がSNS上に解決策を公開してくれていたため、スムーズに解決に至りました。
その情報で知ったのはAvid Knowledge Base上に2023年末に公開されていた以下の記事で、Application Supportフォルダから指定のファイルを削除するという、作業としてはそれほど難しくない解決策でした。
Cause and Solution to Sibelius Error message: "There was an error initializing the licensing engine...." (Last Updated : December 28, 2023 Products Affected : Sibelius, Sibelius Ultimate)
この記事を参考に、画像などを追加した解決方法を以下に掲載しておきます。
【Macの場合】
SibeliusとAvid Linkを終了します。 必要に応じて、「option+⌘+esc」キーを押して「アプリケーションの強制終了」ダイアログボックスを表示させ、これらのアプリを強制終了します。

ファインダーを開きます。
画面の上部に移動し、「移動」メニューをクリックして、「フォルダーへ移動」を選択します。
「/Library/Application Support/Avid」と入力し、enterキーを押します。
表示された「Avid」フォルダ内の「License」フォルダを削除します。※1
「Common」フォルダの中のコンテンツ(binding.dat、RewireLaunch)を削除します。

Avid Linkを起動します。(これでアクティベートできるようになります。)
※1:Media Composerがインストールされている場合は、それも再アクティベートする必要があります。
弊社環境では問題は発生しなかったので効果は未検証ですが、Windows版の解決方法についても同様に記載しておきます。
【Windows 11の場合】
Sibeliusを完全に終了します。
ctrl+alt+deleteキーを押して、タスクマネージャーを開きます。
「詳細」タブに移動します。
Avid Link.exeを選択して右クリックし、「プロセス ツリーの終了」を選択します。

Windowsキー+Eキーを押して、Windowsエクスプローラーを開きます。
「表示>表示>隠しファイル」にチェックが入っていることを確認します。※2
「C:\ProgramData\Avid」に移動します。
「License」フォルダを削除します。※3
「Common」フォルダーに移動し、その中のコンテンツを削除します。
ごみ箱を空にします。
こちらの記事で説明されている手順に従って、Sibelius を再アクティベートします。
※2:これは次のステップでProgramDataフォルダを表示させる際に必要です。参考記事:Windows:不可視ファイルの表示)
※3:Media Composerがインストールされている場合は、それも再アクティベートする必要があります。
(2)Finaleの場合
Sibeliusの場合と異なり、Finaleについてはエラーメッセージは現れなかったので、症状をネット検索しても解決に繋がる有力な情報は得られませんでした。
しかし、同じく「MIDI/Audioメニュー>プレイバックにAudio Unitsを使用」で選ぶサンプル音源の中でも、NotePerformerでは音が出てGIFFとGPO5のみ音が出ないという症状からGarritan系、そしておそらくはその二つに関連するプレイヤーであるARIA Playerに関連した問題であろうとの予測は立てられました。
AUプラグインの再読み込みや、Garritan/ARIA Player関連の初期設定ファイル削除は効果がなく、Finale、GIFF、ARIA Player、GPO5を全てアンインストールしたのちにFinale+GIFFを再インストールすることでGIFFの問題は解決しました。
しかし、その後にGPO5をインストールするとGPO5だけでなくGIFFも再び音が出なくなり、最終的には再度、Finale+GIFFを上書き再インストールすることで、GPO5も含めて全てが解決しました。
ーーー
取り急ぎ、今回の記事では問題の症状と解決策をご紹介しました。原因については調査中ですが、
Avid Knowledge Baseの記事に、考えられる原因の一つとして「コンピュータに変更が加えられたため、Sibeliusはこれがライセンスがアクティベートされているコンピュータではないと判断しました。その原因としては、例えばOSのアップグレードなどが考えられます」とある。
Finaleでは、同じGarritan系音源でもFinaleに付属のGIFF音源だけインストールしている場合は問題ないが、別売りでライセンス認証が必要なGPO5を追加インストールした際に問題が発生する。
ということから、いずれもmacOSアップデートとライセンス認証の関係に原因がありそうに思えます。これは分かり次第、別の記事に書きたいと思います。