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手元のFinaleをなるべく長持ちさせるために

更新日:13 分前


Finale開発元のMakeMusic社が2024年8月末に公開した「Finale Sunset FAQ」に記されていたFinale英語版テクニカル・サポートの終了日とされる2025年8月26日まで、残り4ヶ月間ほどになりました。


"Effective August 26th, 2025, you will no longer be able to receive Finale technical support from MakeMusic."


Finale日本語版についてはサポートのトップページからテクニカル・サポート問い合わせフォームへのリンクが既に削除されており、また本日2025年4月28日、MakeMusic社製品に関する以下を含む業務を2025年8月25日にて完全に終了することが公式にアナウンスされました。


  • ライセンス認証/認証解除

  • オンラインユーザーマニュアルの提供

  • Finale関連製品の登録

  • インストーラー、アップデーター、日本語マニュアルのダウンロード‬

  • FAQの掲載‬

  • 上記に関連するすべてのサポート


このため基本的にはSibeliusやDoricoといった他のプロ向け製品への乗り換えを引き続きお勧めいたしますが、MusicXMLを介したファイル移行は時として簡単でない場合があるため、ユーザーとしてはFinaleを出来る限り長く使用可能な状態に温存しておきたいところでしょう。


この記事では、オリジナルの英語版とは若干異なる仕様を持つFinale日本語版の事情に即して、テクニカル・サポートの観点からその長期的な温存にあたっての留意点をまとめておこうと思います。


【目次】



1.OSをアップデートさせない


最も重要な注意事項は「Finaleを温存させたいパソコンを現状維持し、OSをアップデートさせない」ことです。


Finaleを温存させたいパソコン(以下「Finale専用パソコン」)は、当然ながらそのバージョンのFinaleの動作環境を満たす必要があり、新しいバージョンのOSが提供されている時は、不用意にOSをアップデートしないことが非常に重要です。


特にMacについては、使用していたアプリケーションがmacOSのアップデートにより動作不良を起こす場合がWindowsに比べて多くありますので、Finaleに限らず、一般に不必要なmacOSのアップデートは避けるのが無難です。


※アプリケーション開発者にとっては、毎年のように発表されるmacOSの新バージョンへの対応は頭痛の種の一つで、Finaleもその例外ではありませんでした。このあたりの事情は以下の記事に詳述しています。


▼【macOS】アプリケーション開発とOS対応


Macでは、最終バージョンとなったFinale v27は今のところ動作環境外とされる現行OSのmacOS 15 Sequoir上でも大きな問題なしに動作しているようですが、次のmacOSアップデートでどうなるかは分かりません。


▼macOS Sequoia Compatability Thread (Real world experiences only)


Macを1台しか持っておらず、他のアプリケーションとの兼ね合いなどでどうしてもそのmacOSをアップデートさせる必要がある場合、Finale v27の動作環境を満たすmacOSを搭載したFinale専用のMacを中古市場で探すといったことも必要になるかもしれません。


Windowsの場合はこれまでの経験上、Macに比べてアプリケーションが新OSに非対応になるケースは少なく、将来的にWindows 12などが公開されても、おそらくFinale v27はそこで動作するのではないかと推測します。


しかし、いずれにせよFinaleを確実に温存したい場合は、MacとWindowsのいずれにおいても、動作環境を満たすOSを維持することが重要です。


※ちなみにMac旧製品のメンテについては、東京渋谷にあるMac修理専門店「愛Mac」がお勧めです。


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2.Finale専用パソコンはインターネットに接続させない


前述の「OSをアップデートさせない」というのは、Windows 10→11といったメジャー・アップデートだけではなく、定期的に提供されるWindows Updateのようなマイナー・アップデートも含むことにご注意下さい。


一般にパソコンのOSは、ユーザーがこれをアップデートさせるか否かを選択できる余地がありますが、パソコンをインターネットに接続している限り細かなアップデートが随時、自動的に適用される場合があり、上記のWindows Updateはその一例です。


Finaleは開発が終了となったため、Windows Updateを含めた今後提供される新しいOS上で発生し得るいかなるトラブルに対しても、その修正版は提供されないことには留意する必要があります。


Finale専用パソコンはWindows Updateのような自動アップデートが適用されないように、MacとWindowsいずれにおいても、インターネットに接続しない環境で運用することが無難です。


※Finaleはライセンス認証を解除した状態でも使用可能ですが、その状態ではファイルの保存と印刷ができません。なので、Finale専用パソコンではライセンス認証された状態を保持する必要があります。


基本的にはユーザーが自身でそのように操作しない限り、Finaleのライセンス認証が勝手に解除されることはありません。しかし、特にFinale v25とv26のWindows版において、稀にライセンス認証が不意に解除されてしまうトラブルがありました。


これには、パソコンの起動や終了時に自動的に実行されるWindows Update(Windows更新プログラムのインストール)が原因の一つと考えられています。


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3.Finaleのインストーラー等を入手しておく


温存中のFinaleがトラブルに見舞われてクリーン・インストールが必要となった場合に備え、Finaleのインストーラーを入手しておくことを強くお勧めいたします。


これは株式会社ジェネレックジャパンへの製品登録があるFinale日本語版の正規ユーザーであれば、2025年8月25日までは同社のマイページにログインの上、「所有製品 / 製品登録」のページからダウンロードできます。


▼株式会社ジェネレックジャパン・MUSIC EcoSystemsマイページへのログイン


Finale v27のインストーラーは3.5GBほどのサイズですが、これは外付けのストレージにコピーしたりディスクに焼くなどして、邪魔にならない場所に永久保存すると良いでしょう。


「あなたへのおすすめ」欄には、インストーラー以外の付属物のダウンロードリンクがありますが、この中から「Finale 2x オフライン用ユーザー・マニュアル」をダウンロードしておくことをお勧めいたします。


Finaleのユーザーマニュアルはインターネット上で閲覧できますが、これはそれと同じものをローカル環境向けに再現したもので、入手しておくとインターネットに接続していない環境でもユーザーマニュアルを閲覧することができます。


オフライン用ユーザー・マニュアルはこれまでFinale v25以降のバージョンで提供されており、v27用とv26用は共通で、ファイル・サイズは2.2GBほどあります。


アップデータについては、現在ダウンロードできるFinaleインストーラーはいずれも各バージョンの最終版(つまりv27であればv27.4)のため、アップデータの入手は基本的に不要ですが、これは300MB程度の小さなファイルなので、保存スペースを確保できるのであれば入手しておいても良いかも知れません。


なお、Finale日本語版アップデータをFinale英語版に適用することは出来ませんのでご注意ください。(日英のファイルが混ざることによるトラブルの原因になります。)


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4.Finale英語版も使用可能な状態にしておく


前述の通り、Finale日本語版のライセンス認証/認証解除は2025年8月25日を以て終了が決定しました。これにより8月26日以降は、既に行ったライセンス認証の解除、および新規インストール後のライセンス認証ができなくなり、従って、これまで可能であった新しいパソコン購入後の乗り換えもできなくなります


※Finaleは、ライセンス認証を行わない場合はいわゆる無料体験版として機能し、新規インストール後30日間はフル機能が使えますが、その後は印刷と保存(MusicXMLなどのエクスポートも含む)ができなくなります。Finaleのインストール後30日以上経過したパソコンにてそのライセンス認証を解除すると、印刷と保存は即座にできなくなります。


従って、2025年8月26日以降であっても、Finale v27の動作環境を満たす新しいパソコンを入手してFinale v27日本語版を新規インストールし、30日以内に手持ちのFinaleファイルを全てMusicXMLでエクスポートしておけば、それらはSibeliusやDoricoなど他ソフトウェアに引き継ぐことができます。


これは将来的にMakeMusic社によるFinale英語版のライセンス認証サービスが終了した後のFinale英語版についても同様です。


このため、8月26日以降に新たなパソコンを購入するなどでFinaleを新規でライセンス認証したい場合は、日本語版ではなく、Doricoクロスグレード版を購入の上、MakeMusic社からFinale最終バージョンであるv27英語版の提供を受けてこれを用いることが唯一の方法となります。


※Doricoクロスグレード版は現時点では¥20,900のセール価格が適用されており、これはFinale v27日本語版のユーザーだけでなく、v26以前のFinaleのユーザーや、さらにPrintMusicのユーザーも購入可能です。なお、このセールはいつまで継続されるかは不明のため、なるべく早めのご購入をお勧めいたします。


「Finale v27の日本語版を入手したい」という声も聞かれますが、以前の記事にも詳述した通り、Finaleはオリジナルである英語版が最も多くのテストが重ねられているためローカライズ版である日本語版よりも信頼性が高く、この機会にFinale英語版を入手できるのは幸運という考え方もあります。


Finale英語版のユーザー・インターフェースは、メニューの順序が多少違うなどを除けば日本語版と殆ど変わらないので、日本語版を使い込んだ人であれば、たとえ英語が苦手であっても、すぐその使用に慣れることができると思います。


バージョン違いのFinaleはプログラム上は別製品であり、同じ環境で同時に起動して使用できますので、v26以前の日本語版を裏で常に起動しておけば、v27英語版で意味が分からない言葉に遭遇した場合、すぐに調べることもできます。


Finale英語版を使用する際の唯一の問題点は、Finale英語版にはFinale日本語版の記譜用フォントKousakuが使用可能な設定がなされていないために、Finale日本語版で作成したファイルを開いた際に文字化けが生じる可能性があることですが、この問題の回避方法は以下の記事でご紹介しています。


▼Finale 27.4のアップデート内容と、Finale日本語版で作成したファイルを英語版で扱う方法(文字化け対策を含む)


Finale英語版は開発元MakeMusic社の直轄バージョンのため、信頼性が高いだけでなく、おそらくライセンス認証サービスが将来に向けて最も長期に亘り提供され、従ってFinaleで最も長寿命な言語バージョンになると思います。


※Finale開発元のMakeMusic社の「Finale Sunset FAQ」によると、当初は2025年8月25日としていたFinale英語版のライセンス認証サービスの提供期限は、その後のユーザーの反応により無期限で延期され、現在は「Finaleのライセンス認証は当面の間は継続する(Finale authorization will remain active for the foreseeable future)」とされています。


仮にもし今、何らかの方法でFinale v27日本語版を入手できたとしても、2025年8月26日以降にはその新たなライセンス認証ができなくなるため、Finale v27日本語版はインストール及びライセンス認証したパソコンが壊れた時点で完全に寿命を迎えることとなります。


従って、もし可能であれば、セールが行われているうちにDoricoクロスグレード版を購入の上、Finale v27英語版を入手し、日本語版だけではなく英語版のFinaleも温存しておくことを、非常に強くお勧めいたします。


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5.温存中のFinaleにトラブルが発生した場合は


今後、温存中のFinaleにトラブルが発生した場合は、弊社でも過去にFinaleテクニカル・サポートを担って来た経験に基づき、これと同じ技術水準のサポートを日本語版・英語版の双方に対してご提供可能です。


しかし、Finaleの開発元や代理店とは関係のない独立した事業体である弊社がご提供できるサポートは有料であり、また恐れ入りますが、これは全ての問題に対する解決をお約束するものではありません。


問題に直面した場合は、まずはセオリーに従い、最初は初期設定ファイルの削除、次にクリーン・インストールにて自力解決を試みて頂くことをお勧めいたします。


▼汎用的なトラブル解決手段:初期設定ファイルの削除(再構築)


▼汎用的なトラブル解決手段:再インストール


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【お知らせ】

Finaleからの乗り換えを支援するDorico集中講座(2025年6月開講コース)の受講お申し込み受付中。詳細はこちらのページをご覧下さい。

Finaleからの乗り換えを支援するSibelius集中講座(2025年6月開講コース)の受講お申し込み受付中。詳細はこちらのページをご覧下さい。

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